第28回油絵ひまわり会展作品　　No.26〜28　�燒�民樹

No.26　雨上がりの参道　F50

鎌倉の観光スポットを描いてみました。
あじさいの花期、この参道は観光客で溢れかえり写生どころではありません。
怪しげな女一人を残して景色から人混みを消し去ると、雨に濡れた参道のさきには古刹野の門あり、その奥に苔むした墓所の先には有史以来何度も津波に洗われた狭い土地に住み着いた人間の生活があり、彼方には押し寄せる波と空と永遠が見えます。

No.27　雨の調べ　F30

夏服を着た若い女性の瑞々しい素肌の傍にビスコンティ好みのマゼンタ色の西洋アジサイ（水の器）を添えて描いてみました。
それまで練習していたフルートを膝元に置くと外は雨、花に降り注いだ雨は器からあふれて布を伝って流れ落ち、床を濡らし、大地に浸み込んでゆきます。

No.28　流転　P20

画狂老人の「神奈川沖浪裏」の構図を借用して徒然なる妄想を塗りこんでみました。
脳裡に焼きついた9.11、3.11の残像に重なるのは虚空を漂う瓦礫、亡者の魂、砕け散った夢の欠片、生まれ来るべき命の素粒子・・・卍。